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slowfood+sweet tooth

農家・料理人・お客をつなぐ食業界記者。製菓と製パンも得意。

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2011.08
11
Category : 素材研
久々に「粉」をやりました。
というのも、北海道はここ数年、小麦の新品種ラッシュなのです。
開発競争(よい面も、そして少しだけ考えさせられる面もある。)で、
10年ほどもかけて固定された品種がいま、次々に日の目を見ているのです。

直前に出かけたベーカリーキャンプ(これも週末にアップします。ホントに。)では強力粉の存在意義をあらためて整理できた思いですが、
一方で薄力粉にお世話になるパティシエは、ブーランジェほど粉を愛するのかというと…。
それはそうです、粉はパンの主原料ですが、お菓子にとっては主役ではありませんから。
ただね、それでもやってみるものです。
今回の食べ比べ、やった私が驚いたほど味の違いがでて、
しかも今まで語られなかった「本当はこう思ってた!」
「うちはこれを使いこなしてるぞ」てのが続々出て来て、盛り上がりました!

話し合いは書ききれない…ので、次回に分けます。

----以下レジュメ抜粋------------------------------------------------------
素材研<12>
■深化中! 道産薄力粉の食べ比べと知識■
【はじめに】
パン業界が国産小麦に注目して久しい一方、近年は菓子にも使える粉が増えています。特にバラエティ豊富なのが、ここ北海道産の菓子用粉。品種による風味や性能(用途)の違いなど、なじみ深いスーパーバイオレットを対立軸に道産薄力系のいろいろを食べ比べます。
IMG_1349_convert_20110812003156.jpg


1国産の菓子用粉事情  (深江)

1-1小麦のルーツと品種

1-1-1ルーツ
イネ目イネ科コムギ族、コーカサス原産とも。秋播きが原型

今のコムギに近いものは紀元前7000年代メソポタミア(現在のシリア)生まれ。
ヨーロッパ:旧約聖書「安息日に麦の穂を摘むのは」(マタイ伝)
日本:中国(漢)伝来、奈良平安期に五穀のひとつ。江戸期に製粉法定着~うどん、ほうとうなど庶民へ普及
北海道:昭和期に日本の本場に!


1-1-2生産
【世界】
中国、インド、アメリカ、ロシア、フランス、カナダ、ドイツ…(「国際小麦生産統計」)
上位五国で50%、計約6億トン/年
日本の輸入元=アメリカ、オーストラリア、カナダ…直接食品になる量にして530トン)

【日本】
小麦の国内自給率=14% ※平成19年度
国産小麦
1965年 130万トン
1994年 57万トン
2009年  80万トン  うち60%が北海道産(以下東北関東20%、九州13%…)

【作り手】
生産側(農家)にとって、麦は買い取り保障のある畑作経営の柱
日本の農政で価格統制が残る唯一の穀物(コメは自由化)
一定の品質をクリアし、多収であることが条件
(てんさい、大豆、でんぷん用ばれいしょと並び、市場価格が下がった場合の補填的制度がある)
また、小麦は輪作のためにも欠かせない作物(大豆、麦、ばれいしょ、ビートなどから選択される)
野菜や米と異なり、製粉プロセスが必須のため、「顔見え」が難しい
事例)
「小麦トラスト」(北海道 食の自給ネットワーク)
「ご当地小麦」(F-Ship 江別製粉)http://haruyutaka.com/fship_04.html


1-1-3中力粉の時代

・外麦
菓子用=WW(Western White) うどん用=ASW(Australian Standard White) がベース。
※ブレンド後に輸入されるしくみのため、品種でなく銘柄名

・内麦
品種>近年めまぐるしく変遷中!
本州=農林61号→チクゴイズミ/イワイノダイチ/アヤヒカリ/さとのそら
北海道=ホロシリ→チホク→ホクシン→きたほなみ

<ホクシン>(1995年北海道立北見農業試験)
国内作付トップ品種。

<きたほなみ>(2009年度申請、北見農試)
23年度に作付面積トップ(予定)
穂数および1穂あたり粒数が多く穂発芽や主な病気に強い=農家が作りやすい
製粉歩留はオーストラリア小麦以上
タンパク量はホクシン並み。練り粉の色はくすみが少なく(低灰分)、明るいクリームホワイト


1-1-4パン用粉の登場と使い分け
春播き ハルユタカ → 春よ恋 → はるきらり
秋播き キタノカオリ/ゆめちから
フランスパンは「中力」 
「多加水」ブーム→中~薄力系品種に活路!


1-2データからわかること、わからないこと
  
「粒食」の米や雑穀と違い「粉」にすることで初めて加工利用できる。
育種と製粉が用途の広がりを牽引してきた。


1-2-1たんぱく質
小麦粉中には蛋白質が約80種、6~15%。うち85%が「グリアジン」と「グルテニン」

1-2-1-1グルテン
たんぱく質含量と相関するが、物理性は量とはイコールではない。
2つのタンパク両方を含む穀物は小麦のみ(グルテンは小麦特有)
測定: (測定器による)小麦粉10gに2%食塩水4.8mlを加えて20秒間練り5分間水洗いする。残ったグルテンを脱水して計量(ウエットグルテン)、乾燥機で乾燥後の重量はドライグルテン。
小麦粉に水を加えて捏ねると、グリアジンとグルテニンが絡み合ってグルテンができる。
 グルテニン=弾力強く伸びにくい / グリアジン=弾力弱く粘着力が強く伸びやすい

◎量と粘弾性のバランスに差があるグルテン
 小麦の種類、品質、加水量、副材料や添加物、捏ね方によって、グルテンの量と粘弾性のバランスが微妙に異なる。グルテニンとグリアジンの比率や分子構造による。適した量の水を加えてよく捏ねると、しっかりしたグルテンが形成されるが、水が足りない場合や捏ねが不十分だと、もろくて弱いグルテンになる。

1-2-2灰分
灰分とは、食品を焼いて残る灰。食品中の無機質のおよその割合を表す。
測定:小麦粉を 500度~600度で焼き、粉重量に対する灰重量を%で表す。
粉に含まれる無機質には灰になるもの(Na,K,Ca,Feなど)と気体になって逃げるもの(Clなど)があるので、およその量。


1-2-3
ファリノ吸水
小麦粉を一定の固さにこね上げるために必要な水の量。
粉と水をこねる際に堅さや吸水などさまざまなデータをとる「ファリノグラフ」で計る。
たんぱく質はグルテン生成時に吸水するので、タンパクが多いほど吸水も上がる


<規格>
灰分 (%) 蛋白(%) グルテン(%) ファリノ吸水(%)
ドルチェ 0.39 9.3 26.0 52.0
ホクシン 0.40 10.4 26.0 52.5
きたほなみ 0.42 9.5 27.0 53.0
ファリーヌ 0.39 8.7 24.0 52.0
クーヘン 0.60 10.8 30.0 54.0
Sバイオレット 0.35 6.2*
特宝笠 0.35 7.6*
Sカメリヤ 0.33 11.5*

*ケルダール法による

--------------------しかし…数値が同じでもテクスチャーが違う!?-------------------
■計測方法が違う!
ヨーロッパ:小麦粉の水分を計算上除いた重量がベース
日本:小麦粉の実際の重量がベース → (粉の水分量によってデータがぶれる)

■成分量より成分の質が問題!  だがデータ化できていない

<パンにおける小麦粉>グルテンの網目が骨組みをつくる
小麦粉と水を撹拌すると気泡を含む→加えたイーストが糖を食べて発酵(炭酸ガス+アルコール発生)
 →でんぷんの一部も酵素分解して糖になり、イーストの餌に → 空気+炭酸ガスの気泡にグルテン膜ができる → グルテンとでんぷんのからんだ網目からグルテンが引き出されながら、気泡が膨張

<ケーキにおける小麦粉>気泡を包みこむのはでんぷん
卵と砂糖が作る気泡にの表面に小麦粉がくっつく → 加熱初期にでんぷんが膨張、糊化して伸びる
 → 気泡も熱膨張 →ふくらむ
※でんぷんは卵、たんぱく、砂糖と水分を奪い合う。でんぷんが必要な水を十分吸うことで気泡が包み込まれ、小麦タンパクの熱変成が骨組みとなり、スポンジができあがる。

(1-2-3:財団法人製粉振興会 参与,農学博士 長尾 精一)
(1-2資料: 「小麦粉」―その原料と加工品― 改定第四版 - その他 [製粉協会]、
財団法人 製粉振興会HP http://www.seifun.or.jp/ )

---------------というわけで、試食!-------------------------------------------
Ⅱ  試食(製造:「ケイク デ ボア」森さん、「マルグリット」北村さん、道木さん)
1. 気泡の状態(ジェノワーズ)
配合:E230 S185 F115 B25 牛乳45
焼成:160℃35分

2. 吸水、口どけ(スコーン)
配合:F300 S15 塩1 BP5 無塩発酵B(森永)90 牛乳100
焼成:220℃15分、まとまったら休ませずカット焼成。上面のみ牛乳でドリュール

3. 香ばしさ・副材料との相性(パウンドケーキ)
配合:無塩発酵B(森永)100 S100 F110 E120 BP2 塩1g バニラオイル
焼成:
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2011.04
17
Category : 素材研
後半は、メンバー裕子さんの希望もあって
「ドルチェヴィータ」安孫子シェフにお話して頂いた。
まつやま養蜂園とのおつきあいが長く、珍しく直接もらっているほど信頼関係があつい。
はちみつや生産者とのつきあいを話して下さった。

素材研 by オフィスYT■北海道のはちみつ
<ゲスト2>
事例提起 「近郊産はちみつ、そして生産者とのつきあい」
お菓子のドルチェヴィータ オーナー 安孫子政之さん

------------------------------------------------------
<ドルチェヴィータ 安孫子シェフの事例>

「はちみつをお菓子に使いたい、と思っていたのですが、アカシア蜜ではいくら入れても風味が出ない。
味ではちみつを打ち出したお菓子を作りたいと、と探している時に出会ったのが、
増毛町・まつやま農園のシナ蜜でした。」

 なれそめは10年以上前、毎年訪れる増毛の果樹園さんからの紹介だった。
果樹農家との交流が続く中で知り合った信頼関係のもと、限定量を一斗缶で直接買い受けている。
 園主・松山さんは鹿児島出身。アカシヤやシナノキの花を求めて増毛で植栽するうち
リンゴやオウトウの果樹園を築いたという。増毛町の暑寒別岳に巣箱を置きアカシヤ、アザミなど様々な蜜を採る中で、シナ蜜はJTがタバコの風味づけ原料に使うほど強い風味が特徴。
 2010年は厳しい年だった。春寒く一気に暑くなったため、花を追って列島縦断する養蜂家が開花にまにあわない事態が危惧された。さらに夏の気候が不安定で雨も多く、結果アカシアが減産したようだ。
「アカシアを三回採るうち、最初と最後は花が多少混ざる。真ん中の回がもっともピュア。」
「複数種の花が混じると結晶しやすい」など、現場で教わったことは多い。

「今は松山さんのお弟子さんと息子さんが後を継いでおられます。
養蜂業では、仕事の大本である蜜源を大切に管理し続けるため、
親方から弟子に蜜源が引き継がれるのが常だそうです。」(談)

参考記事「北の糖源郷紀行」ドルチェヴィータ「まつやま養蜂園のシナ蜜のムース」
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000681006180015

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<謝辞>

安孫子シェフ、分刻みの多忙の中、突然のお願いを快く受けてくださって、ありがとうございました。
体験談によって議論が深まり、「自分ははちみつとどうつながるか」を考え始めた人がいました。

紀井さんも、資料のご準備まで頂き、ありがとうございました。
マニアックで深江的にも最高です!(笑)
※紀伊さん、実は被災地の役場支援に行かれる日程の合間のご協力でした。

やまもと養蜂園さんにアタックしますので、一緒に行きたいメンバーは連絡を。
といっても見てない人が相変わらず多いよね…(涙)

画像は後日足します。
あと、紀井さんに頂いた当日配布資料のデータは、どこかにアップしたらここに貼ります。
(ごめん。)
2011.04
17
Category : 素材研
一年半ぶりに元気を取り戻し(嘘)素材研を開きました。
テーマははちみつ。旬な食材だから、というわけでも特になく、
去年、北海道農政部の紀井さんに聞いた養蜂事情があんまり面白く、
使い手の皆さんにも知らせたい、と開催しました。
最近はネットが使える参加者が増えたようなので、アーカイブします。

まずは前半。

お分かりになりますか?私は初めて見ました。
みつろうのインゴット(笑)です。
みつろうキャンドルの原材料。
カヌレの型油にも使います。

IMG_0900_convert_20110719135009.jpg

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素材研 by オフィスYT■北海道のはちみつ
日時/ 2011年4月4日(月)20:45~22:45 
会場/エ・ピュ・ドルチェ:011-280-6466
札幌市中央区北4条西13丁目1-27
(ミニ大通 13丁目南向き1F)

<テーマ提起> 食物の「つながり」を学び伝えよう 深江
<ゲスト1>農業としての養蜂~蜂からはちみつまで~ 
道庁農政部畜産振興課 紀井充弘さん
~Q&A~

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<出席者15名>
(製菓・料理・食品物販ほか)

道産はちみつのキーワード
<歴史と由来>
ハチミツは 唯一の甘味料でしたし、ロウソクの唯一の材料が蜜ロウだったので、大変大きな需要があった。紀元前7000年頃に描かれた、スペインのアラニア洞窟の壁画に蜂 蜜を採集している女性の絵が描かれています。紀元前2000年頃のエジプトのパピルスに、皮膚病や傷の手当に蜂蜜を使うことが書かれています。”蜂蜜は病を治し、コーランは心の病を治す”ともいわれ、蜂蜜はエジプト、アッシリア、中国、ギリシャ、ローマや日本など世界中で薬とされてきました。
(日本養蜂はちみつ協会より引用)
はちみつの日:8月3日。 
1985年(昭和60年)全日本はちみつ協同組合と日本養蜂はちみつ協会が制定

<処理法によるタイプ>
天然はちみつ(花蜜由来100%)/巣入り/
クリームタイプ(結晶の核を入れて14度でミキシングしながら結晶化)
高温加熱は褐変、匂い、ビタミン類の損失につながる。

<農業あってのはちみつ>
養蜂は行政区分で畜産業(放牧をイメージしてください)。=山と草地の恵みが必要。

<Stats(統計)>
1. 国内自給率6~7%、2200トン。国産一位は北海道17%。国産蜜源はみかんがトップ、
道産ではアカシア(ニセアカシア)が特徴的。
2. 世界のトップ産国は中国。日本の輸入内訳は中国80%、アルゼンチン10%(国産と同量程度)、カナダ、ミャンマー、NZ。単花蜜ではクローバーがトップ。今後輸入が増えそうなのはカナダ。蜜源はキャノーラ(なたね)主体で、巣箱の規模から採蜜まで集約席で、濾過処理ふくめ高品質。
3. 価格は問屋で一斗缶(24kg)あたりアカシア5万5000円、百花蜜35000円~。
4. 蜜源による差は大きいが、平均的な成分は果糖35%,ブドウ糖35%、水分20%以下、麦芽糖オリゴ糖ショ糖20%(水分量は業界団体で定義あり)。花蜜はショ糖主体だが、蜂の体内酵素によって単糖類に分解される。ブドウ糖が多く温度が低いほど結晶しやすい。


<北海道の養蜂>
ミツバチの冬越しは温暖な府県ですることが多い。(道内で冬越ししているのは一軒のみ)
養蜂家は4月中旬~連休明けに北海道へ上ってくる。
はじめはタンポポ(花粉が蜂自身を養うので重要)、5月上旬に蜂群が活性化(まだ蜜は絞らない)
8枚入り一箱に一群3万5000匹が入る。内訳は女王蜂1匹、雄2000匹(生殖担当)、残りはすべて雌の働き蜂で、彼女たちが蜜を集めたり群れを機能させる。

女王蜂は一度に2~3匹の精子をためて産卵し、有精卵(雌)と無精卵(雄)を生み分けながら最長8年も生きる。やがて巣の群を維持できなくなると、王台に産みつけた卵がプロポリスを普通より長く与えられ、体が二倍以上に育って新女王となり、新しい群れを形成する。
蜂の巣がかびないのは巣を掃除することと、プロポリス(巣の補修材)の抗菌作用のおかげ。蜜蝋は働き蜂が花粉や花蜜を摂取すると、体の分泌腺から出されて蜂の唾液と混ぜあわせ、巣の材料となる。ろうそくやワックスに利用するには巣を加熱精製する。

<北海道の花カレンダー>
5~6月アカシアからスタートが多い。(それまではハチの体作り)、7月=百花(いろいろ)、8月=シナガワハギ、アワダチソウ(ともに外来種だが意外に多い。蜜は結晶しやすいが風味は個性的)
養蜂家はトリカブトなど毒草蜜が混ざらないよう管理する。(花も有毒!)ソバ蜜はアレルギーに注意。

みつばちのダンス:先遣隊がよい蜜源を知らせる。例えばアカシアなどは花が密集し蜜も多いので人気!持ち帰った蜜は、門兵ハチが高糖度のものから巣に受け入れるので、 よい蜜源に集中し浮気はしない(訪花の一定性)
蜜蜂は糖分の多い花を選びながら、1日に1000以上の花を訪れ、ティースプーンの1/4程度の蜜を集めます。 こうして集めた花の蜜の主な糖分は蔗糖で、蜜蜂は吸い取った花の蜜を、体内の酵素の働きで果糖や葡萄糖を主成分とする 蜂蜜に変えて吐き出します。そして、羽で風を送り水分を蒸発させて糖分が過飽和の状態になるまで濃縮した蜂蜜を、 密室(巣房)に入れ蜜蝋で蓋をして保存します。(朝取りは水分が凝縮するので○)

<国産蜜の貴重さ>
日本のはちみつ=国産2,656 t /輸入36,919 t
巣箱を持つ人は日本で5500人

<栄養機能面>
カロリー:果糖とブドウ糖、だから燃えやすい
保湿効果:唇パック、エステなど
抗菌効果:水分量が少なく比重が高いため、カビや雑菌が繁殖しにくい。
NZのマヌカ蜜は抗菌性がずばぬけており、創傷のウエットパックとして医療用につかう国も。


<加工性能>(深江)

・ 紅茶にはちみつをいれると褐変するのはタンニンとの結合のため。レモンなど酸を加えるともとに戻る。
★ 肉調理時の保湿性(出典:美山荘・中東氏@世界料理学会2010世界料理学会in HAKODATE
事例)みかんのハチミツ+鴨ロース。
皮目に鹿の子に包丁を入れて、
(脂身にもきちっとハチミツの風味を載せるためと、脂を落としやすくするため)
なぜみかん?
―鴨肉にオレンジなど柑橘が合う。最も柑橘の風味が強かったのは和歌山のみかん蜜を採用。
大吟醸古酒50ccにハチミツ70gを合わせる:アミノ酸(旨味)がグンと増した日本酒。
ハチミツは結晶化しやすいので溶かす。45度以上で劣化が始まり60度程度で風味がこわれる。ので、温度計で測りながら40度で湯煎で溶かしてさます。
漬け地につけて真空で24時間調理する。肉の細胞を「開かせて」ハチミツを浸透。
ハチミツの砂糖より高い浸透性保湿性によって肉汁が保持されるほか、ハチミツの香り、旨味、古酒の風味が入りやすい。
袋から取り出すと、その瞬間にみかんハチミツの香り、古酒の香り、鴨のいい香りがブワッと広がる。
炭火を調節することで表面温度は高いが、中心温度は60度に達せず、ハチミツの風味は保たれる。さらに4~5分焼くと、香ばしさが引き出される。
焼き上がりの塊を比較すると、砂糖づけは肉汁が大量に落ちているが、ハチミツづけのほうは落ちていない。
カットすると、細胞がきっちり崩れてその中に地が入り込無所までは同じだが、そこからハチミツは保水力が効いて切り口から水分が出にくく、肉の中に肉汁が収まっている。
混ぜ物のあるハチミツだとこの効果は得られない。

<参加者Q&A>
Q: 「特定の花の蜜」であるとどうしてわかるのか?
A. 花の種類を100%つきとめるのは不可能で、養蜂家の官能試験によるしかない。
複数種の花の季節、例えば北海道の5~6月のアカシア~百花の違いは数値化できないので、規制がない。
養蜂家は濾過や時には加熱で万人向けの(あるいは既存のおいしさにもとづいた)味のベースをつくる。
Q: 新規就農はできるの?
A. 都市養蜂は農薬のストレスもなく可能性大。しかし蜂のための薬剤を取り次いだり、人に対する保険も用意されている養蜂協会のメンバーになるのは難しく、実際の参入障壁は高い。
Q: ハーブの単花蜜が欲しいが、なぜ増えない?(道内でラベンダー蜜を試したが味に不満足だった由):
例えばオウトウ(サクランボ)の蜜は密生地山梨などでは可能だが、ラベンダーなどは面積が限られるのでコスト高。広大な畑があれば商業用法も可能性。
Q. 個性的なはちみつがほしいのだが?
問屋(バイヤー)とよい関係を築き、行き過ぎた濾過を避け、無調整を使いたい旨伝えてみてはどうか。蜜は養蜂家の味覚によって、産地で調整されている。
紀井氏の注目はシナガワハギ。ミントのような香りは熱にも強く個性的だが、生産者側の評価が低い(安値をつけやすい)。
Q: 量り売りによる物販は可能か? 
ヨーロッパの専門店のようにディスペンサーがあれば可能。ただし結晶すると低温湯煎(40度)で溶かすなどケアが必要なので、瓶売りのほうが扱いやすいのが実情。
Q: 加熱処理はしている?
高品質の蜜は、通常40度程度に温めながら濾過し、高温加熱はしない。
Q: 結晶するのは品質?
結晶しやすい性質を持つブドウ糖の比率が多いだけで、食味と相関するわけではない。また、タンポポ蜜のように花粉を多く含むものは、それが核になって結晶が早まる。
北海道で言えば、百花蜜の後半時期や、ソバ蜜などは結晶しやすい。




<北海道産を使う理由>(深江)
1. 国産の品質の高さ:
大量に出回る廉価品は、糖度が不十分な(水っぽい)蜜を加熱濃縮しているケースも(高温加熱すると褐変するのでわかる)。花蜜由来でないものが混ざっているケースも。表示制度が明確でないためだが、国内業界では花蜜由来であること、水分量20%以下など一定のクオリティが期待できる。(表示の例:天然はちみつ=花蜜由来で、蜂に砂糖水をやっていない、熟成はちみつ=蜂が巣に運んだ直後は水分量が多いが、巣で時間を置く間に蜂が羽ばたきで水分を蒸発させ【熟成】、濃度が高く味のよい蜜になる)

2. 蜜源が豊かでバラエティに富む
国産産地の第一位は北海道。つまり花が豊富。(参照:)国産蜜源トップのみかんが北海道には無いが、高級とされるアカシア以外にも、トチノキ(マロニエ)、シナノキ、アザミ、ボダイジュなど個性的な蜜源が豊富。

3. ハチは農業の担い手:
蜜蜂による花粉交配が貢献する農作物は、日本の農産の3割を担うとも、USでは7割とも試算される。USではCCD蜂群崩壊症候群(Collony Collaps Disorder)が危惧されるが、日本ではほとんど報告がない。むしろ農薬による影響、蜜源の花の減少が問題。農業を守るためにも養蜂は重要。日本のミツバチが貢献する農作物は一度、メロン、オウトウ、トマトなど。(受粉には蜜を集めないマルハナバチなど輸入蜂も多く用いられる。)
※一部引用:玉川大学ミツバチ科学研究センターほか
★ハーゲンダッツ社はカリフォルニア大などのミツバチ研究者に25万ドルを寄付することを表明した。アイスクリームに使用するフレーバーのうち28種類のナッツや果物が、ミツバチの花粉交配に依存。

結論:<環境、農業、食のつながり。はちみつ=大人の美味しい食育!
2008.10
21
Category : 素材研
タカナシ乳業さんを迎えての生クリーム第一回。
無脂乳固形分って何?のフカエがお届けする
「今更聞けない生クリームの素朴な疑問」です。
(タンパクと乳糖でした、不勉強ですみません。で、これが乳の風味を決めるんだって!)

あまりにも身近で、あまりにも素朴な疑問がいっぱいの乳製品に、
初めて手をつけてみました。
学生時代のおさらいとして乳製品のなりたちと、さらに生クリームの製法をお話頂き、
その後Q&A、テイスティングを行いました。
IMGP0010.jpg

「生クリーム」ではテーマが大きすぎることは気づいていたのですが、
テーマを絞るにはめいめいの関心分野も経験もさまざま。
さらに乳製品は牛乳、クリーム、バター、チーズ、とすべてが関連づいていて、
ひとつの疑問が次の疑問を生む…。
悩んだ末、まずは概論をふくめての入門編と相成りました。
乳製品については今後回を重ねるうちに、テーマをズームインしていきましょう。

それが証拠に、ひとつ解説があるとそれに対しての質問はとても活発!
「高速短時間でホイップすれば温度は上がらずに済むが、高速すぎると違いが出るの?」
「クリームってホモゲナイズしないんですか!」
「餌の違いと品種の違い、クリームにはどう影響? 生乳の違いがそのまま出るの?」
「北海道の生乳を本州で加工、また北海道に戻す…地元でパックできない?」
「草を多く食べた乳や放牧の乳はおいしいけどさっぱり味。こういうのはクリームには向くんだろうか」
(脂肪分と無脂乳固形分、両方に「おいしさ」を感じるんだね…高脂肪=おいしい ではない)
「エシレバターって日本のバターより柔らかく感じるけど?」(水分量が少ない方がソフトに感じるはず、と聞いて「逆じゃないの?」と思ってしまった。バターもあらためてやろうね!)
「牛の感染症対策は?」(本音トークの酪農家さんと獣医さんを招んでこなくちゃなぁ~)

きょうのQAを見直して、また次回のヒントにできそうです。

砂糖を入れず、8分立てにしたフレッシュクリームと
乳主源(植物性油脂も加えて味調整もした「ホイップ用」)を試食。
対称軸として、日高乳業さんの47%も加えて頂きました。

<色>…写真ではわからないけれど、タカナシはやはり「クリーム色」に見えます。
北海道では本州ほど「白さ」にこだわらなくなってきていると感じますが、どうでしょうか。
メンバーの中にも「色より味!」と名言する人もいましたね。
北海道の牧場を見ていれば、草のカロテンがクリームに反映…というのは
無理なく受け止めているのでは?

<風味>…タカナシのフレッシュ47は、東京を思い出すシャープですっきりした乳の後味。
弱いのではなく、何となく後が楽というか、きれいだねっていう印象です。
直後に乳主源を食べると、「味がついてるかな」というのがよくわかります。
これはホイップで保形性が高くて便利なんですよね、たしか…。
私は素人なので味にのみ目がいきますが、用途によっては必要なのかな。
(メンバーは誰も使ってないみたいでした)
日高は、ずっしり存在感。同じくらいの乳脂肪分でも、クリームらしさ全開の、
そしてちょっと素朴な味。個人的には好きですが、「北海道!」なイメージ。
IMGP0011.jpg
テイスティングといっても、私としてはどの風味がいいか論じる、なんてほぼナンセンス。
「違いを感じてみよう!」 から始まって「なぜ違うの?」に進んでいくための足がかりです。
日本の乳製品には劇的な差はなく、それだけにみんな好みの味から離れない。

ざっくり言うなら、めいめい食べ慣れた味がおいしいのだともいえます。
だからこそみんなで感想をシェアするのも有意義かなと。


それにしても、味ってどうして違うの? という単純なことがわからない。

1. 成分上の特徴(タンパクや乳糖といった無脂乳固形分)に由来する風味の違い
2.クリームの製造やホイップの過程で乳の中で起きていること(遠心分離~調整とか、
脂肪球膜の破壊と連結、そして脂肪球と水分の関係)によって、口どけや食感、キレのよさが変わる。そのことによって味の感じ方も影響される。

……難しいよやっぱり。


「乳製品は奥が深いね!」講師も参加者も大きくうなずく一同でした。
この分では、次回テーマも生クリームかな……?
ねばり強くやろう。
2008.08
18
Category : 素材研
「ほんとうに北海道に似合う洋菓子」を学びませんか?
…というねらいで、北ヨーロッパのお菓子の講習会を開きます。
またとないチャンスなので、直近ですがいらっしゃれる方はラッキーです!
秋冬に向けてシュトレンのデモがあるほか、
地元の牛乳で簡単バージョンのクワルクチーズを作って使うなど、
北海道らしさを出せる初公開の内容あり!
レベルはアマチュアなら中級以上の方。
でも、初級でもパンもなさる方なら、きっと大丈夫です。
当日会場で見かけたら、声かけて下さいね~(^_^)


******ウォルフガング・ポール・ゴッツェ氏 菓子講習会*******

 北海道の作り手のための、気候風土にマッチした洋菓子文化を学べる講習会です。
吉祥寺「ゴッツェ」のオーナー、ゴッツェ氏をお迎えし、
秋冬に向けて作りたいシュトレンをはじめ、スイス・ドイツ菓子のエッセンスを紹介します。

日 時: 2008年8月23日(土)10:30~17:00(休憩30分)
受講料: 5,000円(デモンストレーションと解説) 定員50名
会 場: 桜井通商(株)本社2階講習会場
札幌市中央区北10条西17丁目1-4(最寄り駐車場をご利用下さい) 
内 容:
・クワルク&ハスカップのチーズケーキ(自家製クワルクの実演付)
・シュトレン2種(同生地で展開するモーンシュトレンとヌスシュトレン)
・ナッツ入りの重厚な伝統チョコレート菓子

申 込: 
桜井通商「アントゥルメ」店頭  又は tel 011-611-7703へ


講師略歴:
ドイツ・ベルリン生まれ。スイス各地の菓子店、ホテルにて修業の後、1970年来日。1973年東京に「コンデトライ・アカデミ」を設立。1978年東京吉祥寺にスイス・ドイツ菓子ゴッツェを開店。
著書「現代スイス菓子のすべて」(日本洋菓子協会連合会)