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slowfood+sweet tooth

農家・料理人・お客をつなぐ食業界記者。製菓と製パンも得意。

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2011.04
17
Category : 素材研
一年半ぶりに元気を取り戻し(嘘)素材研を開きました。
テーマははちみつ。旬な食材だから、というわけでも特になく、
去年、北海道農政部の紀井さんに聞いた養蜂事情があんまり面白く、
使い手の皆さんにも知らせたい、と開催しました。
最近はネットが使える参加者が増えたようなので、アーカイブします。

まずは前半。

お分かりになりますか?私は初めて見ました。
みつろうのインゴット(笑)です。
みつろうキャンドルの原材料。
カヌレの型油にも使います。

IMG_0900_convert_20110719135009.jpg

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素材研 by オフィスYT■北海道のはちみつ
日時/ 2011年4月4日(月)20:45~22:45 
会場/エ・ピュ・ドルチェ:011-280-6466
札幌市中央区北4条西13丁目1-27
(ミニ大通 13丁目南向き1F)

<テーマ提起> 食物の「つながり」を学び伝えよう 深江
<ゲスト1>農業としての養蜂~蜂からはちみつまで~ 
道庁農政部畜産振興課 紀井充弘さん
~Q&A~

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<出席者15名>
(製菓・料理・食品物販ほか)

道産はちみつのキーワード
<歴史と由来>
ハチミツは 唯一の甘味料でしたし、ロウソクの唯一の材料が蜜ロウだったので、大変大きな需要があった。紀元前7000年頃に描かれた、スペインのアラニア洞窟の壁画に蜂 蜜を採集している女性の絵が描かれています。紀元前2000年頃のエジプトのパピルスに、皮膚病や傷の手当に蜂蜜を使うことが書かれています。”蜂蜜は病を治し、コーランは心の病を治す”ともいわれ、蜂蜜はエジプト、アッシリア、中国、ギリシャ、ローマや日本など世界中で薬とされてきました。
(日本養蜂はちみつ協会より引用)
はちみつの日:8月3日。 
1985年(昭和60年)全日本はちみつ協同組合と日本養蜂はちみつ協会が制定

<処理法によるタイプ>
天然はちみつ(花蜜由来100%)/巣入り/
クリームタイプ(結晶の核を入れて14度でミキシングしながら結晶化)
高温加熱は褐変、匂い、ビタミン類の損失につながる。

<農業あってのはちみつ>
養蜂は行政区分で畜産業(放牧をイメージしてください)。=山と草地の恵みが必要。

<Stats(統計)>
1. 国内自給率6~7%、2200トン。国産一位は北海道17%。国産蜜源はみかんがトップ、
道産ではアカシア(ニセアカシア)が特徴的。
2. 世界のトップ産国は中国。日本の輸入内訳は中国80%、アルゼンチン10%(国産と同量程度)、カナダ、ミャンマー、NZ。単花蜜ではクローバーがトップ。今後輸入が増えそうなのはカナダ。蜜源はキャノーラ(なたね)主体で、巣箱の規模から採蜜まで集約席で、濾過処理ふくめ高品質。
3. 価格は問屋で一斗缶(24kg)あたりアカシア5万5000円、百花蜜35000円~。
4. 蜜源による差は大きいが、平均的な成分は果糖35%,ブドウ糖35%、水分20%以下、麦芽糖オリゴ糖ショ糖20%(水分量は業界団体で定義あり)。花蜜はショ糖主体だが、蜂の体内酵素によって単糖類に分解される。ブドウ糖が多く温度が低いほど結晶しやすい。


<北海道の養蜂>
ミツバチの冬越しは温暖な府県ですることが多い。(道内で冬越ししているのは一軒のみ)
養蜂家は4月中旬~連休明けに北海道へ上ってくる。
はじめはタンポポ(花粉が蜂自身を養うので重要)、5月上旬に蜂群が活性化(まだ蜜は絞らない)
8枚入り一箱に一群3万5000匹が入る。内訳は女王蜂1匹、雄2000匹(生殖担当)、残りはすべて雌の働き蜂で、彼女たちが蜜を集めたり群れを機能させる。

女王蜂は一度に2~3匹の精子をためて産卵し、有精卵(雌)と無精卵(雄)を生み分けながら最長8年も生きる。やがて巣の群を維持できなくなると、王台に産みつけた卵がプロポリスを普通より長く与えられ、体が二倍以上に育って新女王となり、新しい群れを形成する。
蜂の巣がかびないのは巣を掃除することと、プロポリス(巣の補修材)の抗菌作用のおかげ。蜜蝋は働き蜂が花粉や花蜜を摂取すると、体の分泌腺から出されて蜂の唾液と混ぜあわせ、巣の材料となる。ろうそくやワックスに利用するには巣を加熱精製する。

<北海道の花カレンダー>
5~6月アカシアからスタートが多い。(それまではハチの体作り)、7月=百花(いろいろ)、8月=シナガワハギ、アワダチソウ(ともに外来種だが意外に多い。蜜は結晶しやすいが風味は個性的)
養蜂家はトリカブトなど毒草蜜が混ざらないよう管理する。(花も有毒!)ソバ蜜はアレルギーに注意。

みつばちのダンス:先遣隊がよい蜜源を知らせる。例えばアカシアなどは花が密集し蜜も多いので人気!持ち帰った蜜は、門兵ハチが高糖度のものから巣に受け入れるので、 よい蜜源に集中し浮気はしない(訪花の一定性)
蜜蜂は糖分の多い花を選びながら、1日に1000以上の花を訪れ、ティースプーンの1/4程度の蜜を集めます。 こうして集めた花の蜜の主な糖分は蔗糖で、蜜蜂は吸い取った花の蜜を、体内の酵素の働きで果糖や葡萄糖を主成分とする 蜂蜜に変えて吐き出します。そして、羽で風を送り水分を蒸発させて糖分が過飽和の状態になるまで濃縮した蜂蜜を、 密室(巣房)に入れ蜜蝋で蓋をして保存します。(朝取りは水分が凝縮するので○)

<国産蜜の貴重さ>
日本のはちみつ=国産2,656 t /輸入36,919 t
巣箱を持つ人は日本で5500人

<栄養機能面>
カロリー:果糖とブドウ糖、だから燃えやすい
保湿効果:唇パック、エステなど
抗菌効果:水分量が少なく比重が高いため、カビや雑菌が繁殖しにくい。
NZのマヌカ蜜は抗菌性がずばぬけており、創傷のウエットパックとして医療用につかう国も。


<加工性能>(深江)

・ 紅茶にはちみつをいれると褐変するのはタンニンとの結合のため。レモンなど酸を加えるともとに戻る。
★ 肉調理時の保湿性(出典:美山荘・中東氏@世界料理学会2010世界料理学会in HAKODATE
事例)みかんのハチミツ+鴨ロース。
皮目に鹿の子に包丁を入れて、
(脂身にもきちっとハチミツの風味を載せるためと、脂を落としやすくするため)
なぜみかん?
―鴨肉にオレンジなど柑橘が合う。最も柑橘の風味が強かったのは和歌山のみかん蜜を採用。
大吟醸古酒50ccにハチミツ70gを合わせる:アミノ酸(旨味)がグンと増した日本酒。
ハチミツは結晶化しやすいので溶かす。45度以上で劣化が始まり60度程度で風味がこわれる。ので、温度計で測りながら40度で湯煎で溶かしてさます。
漬け地につけて真空で24時間調理する。肉の細胞を「開かせて」ハチミツを浸透。
ハチミツの砂糖より高い浸透性保湿性によって肉汁が保持されるほか、ハチミツの香り、旨味、古酒の風味が入りやすい。
袋から取り出すと、その瞬間にみかんハチミツの香り、古酒の香り、鴨のいい香りがブワッと広がる。
炭火を調節することで表面温度は高いが、中心温度は60度に達せず、ハチミツの風味は保たれる。さらに4~5分焼くと、香ばしさが引き出される。
焼き上がりの塊を比較すると、砂糖づけは肉汁が大量に落ちているが、ハチミツづけのほうは落ちていない。
カットすると、細胞がきっちり崩れてその中に地が入り込無所までは同じだが、そこからハチミツは保水力が効いて切り口から水分が出にくく、肉の中に肉汁が収まっている。
混ぜ物のあるハチミツだとこの効果は得られない。

<参加者Q&A>
Q: 「特定の花の蜜」であるとどうしてわかるのか?
A. 花の種類を100%つきとめるのは不可能で、養蜂家の官能試験によるしかない。
複数種の花の季節、例えば北海道の5~6月のアカシア~百花の違いは数値化できないので、規制がない。
養蜂家は濾過や時には加熱で万人向けの(あるいは既存のおいしさにもとづいた)味のベースをつくる。
Q: 新規就農はできるの?
A. 都市養蜂は農薬のストレスもなく可能性大。しかし蜂のための薬剤を取り次いだり、人に対する保険も用意されている養蜂協会のメンバーになるのは難しく、実際の参入障壁は高い。
Q: ハーブの単花蜜が欲しいが、なぜ増えない?(道内でラベンダー蜜を試したが味に不満足だった由):
例えばオウトウ(サクランボ)の蜜は密生地山梨などでは可能だが、ラベンダーなどは面積が限られるのでコスト高。広大な畑があれば商業用法も可能性。
Q. 個性的なはちみつがほしいのだが?
問屋(バイヤー)とよい関係を築き、行き過ぎた濾過を避け、無調整を使いたい旨伝えてみてはどうか。蜜は養蜂家の味覚によって、産地で調整されている。
紀井氏の注目はシナガワハギ。ミントのような香りは熱にも強く個性的だが、生産者側の評価が低い(安値をつけやすい)。
Q: 量り売りによる物販は可能か? 
ヨーロッパの専門店のようにディスペンサーがあれば可能。ただし結晶すると低温湯煎(40度)で溶かすなどケアが必要なので、瓶売りのほうが扱いやすいのが実情。
Q: 加熱処理はしている?
高品質の蜜は、通常40度程度に温めながら濾過し、高温加熱はしない。
Q: 結晶するのは品質?
結晶しやすい性質を持つブドウ糖の比率が多いだけで、食味と相関するわけではない。また、タンポポ蜜のように花粉を多く含むものは、それが核になって結晶が早まる。
北海道で言えば、百花蜜の後半時期や、ソバ蜜などは結晶しやすい。




<北海道産を使う理由>(深江)
1. 国産の品質の高さ:
大量に出回る廉価品は、糖度が不十分な(水っぽい)蜜を加熱濃縮しているケースも(高温加熱すると褐変するのでわかる)。花蜜由来でないものが混ざっているケースも。表示制度が明確でないためだが、国内業界では花蜜由来であること、水分量20%以下など一定のクオリティが期待できる。(表示の例:天然はちみつ=花蜜由来で、蜂に砂糖水をやっていない、熟成はちみつ=蜂が巣に運んだ直後は水分量が多いが、巣で時間を置く間に蜂が羽ばたきで水分を蒸発させ【熟成】、濃度が高く味のよい蜜になる)

2. 蜜源が豊かでバラエティに富む
国産産地の第一位は北海道。つまり花が豊富。(参照:)国産蜜源トップのみかんが北海道には無いが、高級とされるアカシア以外にも、トチノキ(マロニエ)、シナノキ、アザミ、ボダイジュなど個性的な蜜源が豊富。

3. ハチは農業の担い手:
蜜蜂による花粉交配が貢献する農作物は、日本の農産の3割を担うとも、USでは7割とも試算される。USではCCD蜂群崩壊症候群(Collony Collaps Disorder)が危惧されるが、日本ではほとんど報告がない。むしろ農薬による影響、蜜源の花の減少が問題。農業を守るためにも養蜂は重要。日本のミツバチが貢献する農作物は一度、メロン、オウトウ、トマトなど。(受粉には蜜を集めないマルハナバチなど輸入蜂も多く用いられる。)
※一部引用:玉川大学ミツバチ科学研究センターほか
★ハーゲンダッツ社はカリフォルニア大などのミツバチ研究者に25万ドルを寄付することを表明した。アイスクリームに使用するフレーバーのうち28種類のナッツや果物が、ミツバチの花粉交配に依存。

結論:<環境、農業、食のつながり。はちみつ=大人の美味しい食育!
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